2012年1月4日水曜日

2012年 個人的展望

あけましておめでとうございます。
毎年、前のblogで年頭に3つの目標を立てていましたが、なんだか目標ではない年なんかもあったので、そういう形式はやめて今年は仕事始めの今日にここで色々な展望を書いてみたいと思います。とりあえず慣れない年始の挨拶回りなんかで神経使っていて早く寝たいので頑張って簡潔に要点だけ書きます。

  • クラウド一般化

既に昨年の段階で語り尽くされていたことかもしれませんが、クラウドというバズワードも一般化してきて実態も伴ってきました。特にamazonは既にPaaS事業者と言ってもいいくらいの姿勢で地位を確固たるものにしようとしているように感じます。ただ、昨年は石狩クラウドのさくらインターネットがビジネスをスタートしたので、国産クラウドも頑張ってほしいところです。
私は、所謂SaaS事業社と分類される企業に勤めているのですが、これからは我々のようなSaaS(ASP)事業社も、他社の展開するIaaS基盤を利用してビジネスを成立させていく方向にシフトチェンジすべきだと思っています。なので、我々もクラウド利用者となり、階層構造が多重になっていくのではないかと思っています。目指すところは、一般消費者に近い階層に近づくに従って、「システムを利用している」という感覚を無くしていくことだと思っています。これからはITツールがそこにあって当たり前のものになっていく時代であり、そのプラットフォームがクラウドになっていくのだと思います。とは言いつつも、我々の展開しているようなエンタープライズアプリケーションは、もう少し時間が必要かなとも思っています。理由は後述します。
クラウド一般化に必要なセキュリティやらの要素についての記述はここでは控えます。

  • エンタープライズアプリケーション岐路

一般消費者が日頃目にするツール、例えばSNSなんていうのは、ある程度成熟してきていると感じています。それは、使い勝手とか、ユーザーインターフェースからそのデータが格納される部分までのアーキテクチャ全体を含めてです。
しかしながら、エンタープライズアプリケーションは、これから岐路に立たされ、それについていけないパッケージなんかは淘汰されていくと思っています。詳しくはここで高井さんは書かれているので、もう何も書く必要がないのですが、要するにそういうことです。割愛しすぎ?まあ、私も高井さんの書いているのを見てハッとしてグッとした類なんで、要するに基幹系のシステムを長いことやってる会社は特にUIのところ、頑張れよってことです。これはうちの会社も含めて。なんか最近はUXとか言うらしいですが、私はあくまで「UI」です。これが前述したエンタープライズアプリケーションがまだ「システム」の枠を超えられないと思っている所以です。

  • エンジニアの多様化

昨年はamazonの玉川さんとか大谷さんと直接話をできたり、色々な著名エンジニアの方々の講演なんかも拝聴できました。その中で感じたのが、デキる方々は自らの仕事に一切セクショナリズムを持ち込まないということでした。それ、私のやることじゃない、とか、それはあの人の仕事とか、そういう発想が皆無です。とにかくできることはもちろんできないこともなんでもやってしまおう、どんな知識でも貪欲に吸収し続けてやろうっていうエネルギーに満ちていた気がしました。大谷さんなんかは、もともとソフトウェアエンジニアでしたのよね?なんで今amazonでインフラ売ってんのか若干理解に苦しみましたが、面白くて世の中のためになるからそういう場所に人が集まるんだと思います。そういう人たちにとって、プログラム言語がなんだとか、データベースはなんだとか、そんなこと意に介さないんでしょう(いいものは適材適所という意味で)。そして、こういうキーマンたちが業界を引っ張っていくことは間違いなく、私を含めた我々のような零細企業のメンバーも見習うべきだろうと思っています。


2011年は個人的にはどん底を這いつくばった一年でした。このblogもその産物です。2012年は少し上に行きたいもんですね。

2011年11月30日水曜日

【本】鉄の骨(池井戸潤)

直木賞作家池井戸潤さんの『鉄の骨』がようやく文庫化されましたので、読んでみました。ちなみに昨年夏にNHKでTVドラマ化されていて、その時から興味のあった小説です。
読後感を簡単に書いておくと、池井戸さんが本当に正しいこととは何かと葛藤しながら、立ち返るのはやはり公平公正な競争であったということだったのでしょう。「談合」という、一見業界全体を調整で救い共存共栄を目指していく日本特有の旧来からのシステムは、しがらみや利害関係、業界を守るためになかなか抜け出せないだけの悪しき風習であったようです。

この「談合」をテーマに主人公の平太が悩みながら沢山の人々とのかかわりの中で成長していくのがこの本のテーマだったようですが、社会人10年目の私にとっては、平太の先輩である西田吾郎の立ち振る舞いや仕事っぷり、考え方や発言にはっとさせられ、色々と振り返るきっかけになったのかと思います。
印象的だったのが、地下鉄工事発注のためのコストダウンが限界になりながら、さらなるコストダウンを他部署の部長から強要されたときに、彼ははじめこそ憎まれ口だけ言っていたのが突然理路整然とそのコストダウンの限界について説明し、更に誰もが納得せざるを得ないような対案を出してメンバー全員を納得させてしまったシーンです。仕事の中でできないことに対してああだこうだと言い訳がましく自己を正当化することは誰にでもあることだと思いますが、この西田はなぜダメか、そして代わりにどういう方法があるのかというところまで結論を出してしまうところがすごいのです。
実はこれは尾形常務の指示だったようですが、それを忠実にこなしてしまうあたりが、西田のTHEサラリーマンたる所以だと思います。

色々と思うところもありつつ、この本を読んでいてやはり感じてしまったのが、ゼネコン業界というのはやはり成熟している、そしてゼネコン構造と言われる我々のIT業界は未熟だなーということでした。コストに対する考え方や見積基準、設計手法や品質管理といった項目が非常に高い次元で標準化されているからこそ「入札」という制度が成り立つのであって、我々IT業界、特にソフトウェア業界ではこのレベルに達するにはあと何十年必要なのか途方に暮れてしまいます。ただし、このような状況が逆に言うとこの産業の繁栄につながるのかもしれません。今は何が正しいかわかりませんが、いつしか「談合」が悪いことであると誰もが認識できるような絶対的な基準が我々の業界にもできてくれればいいのに切に願います。そのためにはユーザー(発注者)側もITシステムというものに対して理解を深めるべきだと思うのです。

話は横道に逸れましたが、この『鉄の骨』はこのような性質の小説なので、『空飛ぶタイヤ』に比べて全体的に流れる後ろめたい空気感が世界観を作り出しています。そして、ひたすら純粋な平太やその世界に染まったと思わせる西田や他の登場人物も、その中で必死にもがいている姿がよく描かれている良作だと思います。仕事にもがき苦しんでいるサラリーマン(特に10年選手)は必読です。


2011年11月6日日曜日

【映画】モテキ

※ネタバレあり

映画モテキをようやく見ました!
なかなかロングヒットを続けているようですがそろそろ上映終盤戦のようで、私の地元幕張でも夕方一本しかやっていませんでしたので、娘を実家に預けて見てきました。

話はドラマ版から数年後の世界つまりリアルタイムな現在を描いた物語で、しっかりとtwitterやらナタリーやら、ポップカルチャーを背景に登場人物たちが縦横無尽にオシャレスポットを駆けまわる世界観が表現されていました。
藤本がPerfumeと踊り狂ったのは、あれはさいたまスーパーアリーナ周辺ですね。あそこは天気がいいと最高の場所です。ちなみに、東京事変『キラーチューン』のPVもあそこで撮影されています。幸世とみゆきがデートしていたおしゃれ立ち飲みBARはどこでしょう。恵比寿あたりでしょうか。愛が登場したガールズバーは三宿に実在するらしいです。などなど、今回もドラマのときと同じようにこうやって印象的なスポットが虚構現実問わずたくさん登場したのでした。
しかしながら、やはり全体的な構成として映画向けにまとめられてしまったなぁと苦言を呈してみると、

  • 中盤以降、幸世の脳内ひとりごとが聞こえなくなってシリアスになりすぎ
  • なんかよくわからないがハッピーエンドっぽい終わり方
  • 結局幸世がみゆき一途だったのは、ちょっとありえない

ドラマのモテキを見ている人間としては、やはり映画がシリアスすぎた感があります。特に中盤以降はもうちょっと笑いを取ってほしかったです。それと、幸世のキャラは、どっちつかずであっちもこっちも好きで結局誰も選べないっていうのが定石であるべきだと思いました。そんなところに多くの同世代の男性が共感し、多くの同世代の女性が興味深く見守ったはずだから。

とは言いつつも、やっぱりこのドラマというか映画の醍醐味のひとつである音楽については最高に楽しめました。一番鳥肌もんだったのがくるりの『東京』が流れ出したシーン。知っている曲の良さを再認識。このドラマというか映画を見ていると、自分版モテキ音楽をMIXしてみたい衝動に駆られますね。

2011年10月30日日曜日

Japan IT Week 2011 秋

10/26にJapan IT Week 2011 秋に行ってきましたので、全体的な俯瞰ということで記しておこうと思います。

今回も目的はクラウド コンピューティングEXPOだったわけですが、前回に比べて展示会は大幅に縮小傾向でした。今回会場自体が3分の1ぐらいになっていたように感じたのですが、この出展比率をどうやって事前に予測していたのかっていうのは知りたいですね。全体として言えるのが春はこぞって出展していたIaaS事業者がほとんど出ていなかった。amazonとかniftyなんか前回(春)は気合入ってたのに、ブースすらなかった。。。これが何を意味するのかはちょっと現時点ではよくわかっていません。誰か教えてほしいです。いずれにしろクラウドの熱狂も冷めて、実際に業務に適用する際にどうやっていくのかっていうのを冷静に見る段階に入ってきたのかもしれないですね。これからクラウド(IaaS)が本格的に業務利用されるってことだと、個人的には前向きに捉えて歓迎しています。

さて、次。

今回は展示場の規模感もあり、ちょっとスマートフォン&モバイルEXPOにも顔出してみました。実は発注やらSFAやらのアプリケーションを見に来た顧客ユーザー部門のマネージャーと一緒に回ったのですが、明らかにそういう雰囲気ではなかったのが印象的でした。今回の展示会は全体的にユーザーフレンドリーではなかった。
逆に言うと、スマホやタブレットが本格的にビジネスシーンに入ってきているというのを感じました。というのも
  • スマホやタブレットの監視セキュリティアプリ
  • スマホやタブレットを企業ネットワークに参加させる機器やソフト
が今回の展示のメインコンテンツであったように感じます。これって、すごいことだと思います。今まではなんとなくおーい流行りだからとりあえず面白いアプリ作っとけよみたいな風潮だったのが、ビジネスで使うためのインフラを整えようよって動きになってきたことで、時代を一歩進めるためには避けては通れない道なわけです。(個人的には監視やられたら怖いですけどね。)
ユーザーフレンドリーではないと言った所以は、こういった傾向は完全に情報システム部門やシステムベンダーの仕事であって、ユーザー部門が考えることではないということです。

最後に少しだけWeb&モバイルマーケティングEXPOにも顔を出しました。やはり企業マーケティングにtwitterやfacebookを使ってどうする?みたいなネタの宝庫で、これはノウハウとしては必須なんだということをあらためて感じました。

全体として、規模は小さくなりましたが、業界の動向は今まで以上に把握しやすい展示会だったと思います。さて、次の春はどうなることやら。どうしても記したかったので10月の日付で残しておきます。

2011年9月10日土曜日

第4回 クラウドごった煮

第4回 クラウドごった煮に参加してきました。まずはじめに、今年の中旬あたりからAWSに興味を持った結果、この界隈の方々と話をさせてもらったりしましたが、皆さん相変わらずいい意味で肩の力の抜けたゆるい雰囲気でやられてますね。そして、皆さんしゃべるのが異様にうまいです。どうすればああいう風に人前で話せるようになるのでしょうか。見習いたいけど見習えない。

さて、今回は海外クラウドの最新動向と国産クラウド事情ということで、一般的に「クラウド」というキーワードでHITするベンダーの中の皆さまが、LT形式で次々とプレゼンしていくといった内容でした。普段は皆さん競合する相手ということで非常にエキサイティングかつ濃密な時間だったと思います。以下で全てのツイートがトゥギャられてますので、お時間のある方は追っかけてみてはいかがでしょうか。
20110909_第4回クラウドごった煮(#cloudmix )

個人的にいくつか気になった点
海外クラウド最新動向
■AWS関連
  • 新リージョン:AWS GovCloud(政府機関向けリージョン)がUSで開始
  • AWS Direct Connect(所謂専用線サービス)がUSでスタート。日本での数ヶ月以内にサービスインの見込み
  • Eclipseに続きVisual Studio向けのToolkitを提供開始
■GAE関連
  • 課金体系が変更されたことについて詳細を話していました。
  • 要するに、ちゃんとやればそれほど高くないよ、と。
■Windows Azure関連
  • 他サービス(たとえばAWSと)VPN接続可能に
  • オンプレ連携を意識している
  • Azure SDK for スマートフォン
  • 多言語で利用可能(RubyやErlangも!)

クラウドのコミュニティ事情
ここで話されていたJAZUGの安東さんの話は非常に興味深かったです。IT系女子会の存在自体は聞いていたのですが、実際どのような経緯でどうのように活動しているかというの聞いて、ピュアなガールたちが真摯に技術に取り組もうという姿勢が見えてよかったです。こういう部分は我々の業界でも男女問わず見習うべきだと思うのですが、果たしてそれほどの熱意を持った若者がいるかどうかは不明です。UST貼っておきます。



Video streaming by Ustream

国産クラウド動向
■BIGLOBE
  • キーワードは「日本品質」
  • セキュリティへのこだわりを感じる
  • 逆に言うと価格メリットが出せないのを「セキュリティ」でごまかしている?
■IDCフロンティア
  • 世界標準、ここでも日本品質
  • CloudStackを利用した他サービスとの親和性の高いクラウド
■IIJ
  • 現在月間売上1.8億円
  • 1社平均月間45万円
  • 会社紹介長すぎて時間足りず
■GMO
  • オートスケールアップ、アウト
  • 月額950円から
■さくら
  • まだ出ていない
  • 性能、安定性、機能、拡張性にこだわった普通のクラウド
■NIFTY
  • 導入実績900社超
  • VPN、FWリリース
  • 送受信10TBまでは無料
  • SDK for Ruby
  • Oracle使えます!!

といった感じでそれぞれのピーアールから特記事項だけ羅列させてもらいました。
このあとでパネルディスカッションだったのですが、そちらについてはUSTを貼り付けておくので興味がある方は見ておいてください。上の各社の発表も入っているので少しボリューム感がありますな。



Video streaming by Ustream

皆さんもツイートされていましたが、やぱり国産ではさくらインターネットの注目度が抜群でした。もちろんまだ出ていないので、田中社長が何を仕掛けてくるのかというのが気になっているんだと思いますが、彼のビジネススタンスもブレがなくてシンプルで非常にわかりやすいですね。
低付加価値にしてコストで勝負するという発想は、普通の経営者では踏み出せないではないでしょうか。そもそも経営者とはもっとギラギラとしていて何でも食ってやるぞ的な雰囲気を持っている方が多い気がしますが、彼の場合は所謂ユルフワ系の雰囲気でいい意味で肩の力が抜けている気がします。


雑感
弊社は、業務系アプリをASPサービスで提供する会社でして、10年前からインターネットを使ったサービス提供という形をとっていたため、当時は業界(主に物流)では割と先進的なことをシステムでやっている会社という位置づけだったようです。私もその頃入社しましたが、当時世間ではASPで業務系システムをやるというのは非常に抵抗が強く、やれインターネットが不安定だとかやれ帳票はきちんと出るのかとか現場では散々いじめられました。現場に行って2000枚の帳票をテスト的に出力して無駄になった紙の束抱えてドヤ顔してたこともありましたっけ。
それから、ご存知の通りブローバンドの普及によって回線に対する不安感は払拭されると同時に、ASPサービスは「SaaS」そして「クラウド」と名前を変えて、名前先行でここまで来ているわけです。弊社も都度サービスの名称を変えながら来ているわけで、これについては社内でも割と感情的にそのマーケティング方法に対しての議論もあるわけですが、営業的には、まあそれもありじゃねーか?と思っています。本来の「クラウド」という定義からは、われわれのサービスもずれているとは感じないからです。要は提供される側がどう受け止めるかということが重要だと思っています。
ただ、今回のイベントで出てきている各クラウド(IaaS)ベンダーや世間的な動向を知らずに「うちはクラウドサービスやってます!」と偉ぶるのは少し違うのかなーという気がしています。まず世の中の大きな流れやビジネススタイル、スタンスを把握した上で、弊社としてはどのような立場、スタンスで業界にアプローチしていくのかっていうのを明確にしておく必要があると思います。ということで、経営者や上役の方々は色々と忙しいと思いますので、現場にいる我々が勉強して正しい現状を社内外に伝えることが重要ですね。
それとまあ、われわれSaaSベンダーとしても、自社でハードウェア資産やネットワーク資産を持つ限界を感じていますから、これからこういったベンダーとまさにcloudmixしていくには何がベストかというのをより進んだ次元で考えていかないといけませんね。つうわけでなんか今度IIJの営業さんが来るみたい。

そういう意味だと今回のイベントは一度に多くの方の話を聞けましたので非常に有意義でした。というのも、私はほぼAWSオンリーしか注目していなかった質でしたので。

最後に国産ベンダーの皆様から出たAWSへの印象を一言で表すとってやつ、あれ少しひがみっぽくも聞こえてしまいましたが、海外、国内両方共是非ぶれないスタンスで良いサービスを提供して欲しいものですね。まとまりませんが、クラウド入り口から中の様子を覗いている非技術者の雑感でした。

後日追記:
第4回クラウドごった煮( #cloudmix )へ行ってきました
2011/09/09 #cloudmix 第4回クラウドごった煮にお邪魔してきました