2011年5月10日火曜日

緊急営業会議:3.11後のITビジネスと営業の役割

緊急営業会議:3.11後のITビジネスと営業の役割」に参加してきました。以前よりZDNetでblogを連載していた斎藤昌義さんが発起人となって開催された会議です。私自身、blogは昨年ぐらいから読み始めた新参者で、この人がどういう話をするのか、どのような考え方かは文章を通してしか知らなかったので興味がありました。このようにITソリューション営業という分野における批評やノウハウを展開する方というのをあまり見かけないからです。当然、先の震災によるビジネスへの影響度合い、震災が引き起こす社会影響の中で我々ITを提案する営業のやるべきこと、やれることそのものにも非常に興味があり、この会議の開催を知ってすぐに応募した次第です。

先に書きますが、個人的に、ITシステムやITソリューションという分野における社会一般の影響力というのはそれほど大きいとは思っていません。今回のようなクライシス(震災、計画停電、原発事故、交通麻痺等の全ての事象を含む)の中では、ITの無力さというのはさらに顕著であると思っています。パネルディスカッションの冒頭で、ITメディアの藤村さんが「被災地ではITどうのこうのなんて次元ではなく、まったく議論の中心になれていない」とおっしゃっていたのが顕著に表していると思います。では、そのような中で我々IT営業は何をすればいいのか、どこでどのように営業活動すればいいのか、そういった趣旨での進行でした。ただ、ここで書くだけで語り尽くせるほどの陳腐な内容ではなく、中身の濃さは半端じゃなかったので詳細は以下のリンクを辿ってください。メディアに掲載され次第、リンクを追加します。


私の方は、若輩かつ端くれながらこのような場に参加させていただきましたので、特に印象に残ったコメントなどを記しておきたいと思います。
  • 地震で特需なんてありえない、中小起業は倒産してしまう、良いことはひとつもない。(丸新システムズ/熊倉さん)
  • 今後はワークスタイルが変わっていく。例えばシンクライアント、デスクトップ仮想化など、そしてコミュニケーションの方法においてTwitterやFacebookなどのコンシューマー向けツールをビジネスで活用する可能性。(ネットコマース:斎藤さん)
  • 在宅勤務においては、パフォーマンスを可視化できる方法論が必要。
  • 実際の営業現場では、データが壊れることに対する危機感に起因する対策が、東北以外の地域で多く案件化している。(リコー)
  • オンプレミスからクラウドという流れの中で、既存のワークスタイルを変えずにシステムの枠組みが変わっていく。(リコー)
  • SMBでは、震災云々以前にITに投資価値があるかどうかの話が前提。明日津波に飲み込まれるなどという危機感はSMBにはない。(富士通)
  • クラウドではなくDCの引合、案件が多い。クラウドは基幹業務に使われることはまだまだ少ないが、実際には基幹業務でこそ必要。
  • 「今」こそ危機感の啓蒙による営業活動が効果的。
  • これまでどおりきっちりと仕事を仕上げることが大事なのではないか。
  • 震災によってITビジネスのファンダメンタルが変わることはない、大きな流れは変わらないはず。投資バランス、スピード、優先順位が変わっていく。(ネットコマース/斎藤さん)
  • 営業は、各ソリューションの専門性を高めて、お客様固有の状況に合わせて事情を見極め提案をしていく必要がある。
  • SMBに対しては、インフラも含めたパッケージングを提案し、低い投資で普通の効果を出していく。(大塚商会)
  • 直近で我々営業ができることをやっていく。お客様が本当に困っていること、節電や計画停電に向けて何が出来るのか、一般的にはどのような対応をしていくのか等、お客様との情報共有をしていくべき。(日本情報通信)
  • 東北では現地の情報共有もままならない。東京ではITツールをただで貸出しますとかやっているし、義援金や復興予算の金額も大きなものだが、それぞれの要因がバラバラでうまくつながっていない。
  • 売れるときは機能と金額を説明していれば売れる。今は、自社が提供しているITサービスの意味は何か、それを伝えられる営業が売れる。
  • お客様の「困った」にどう答えるのか。ITは「困った」を解決する手段の一部である。世の中の常識の変化を共有するという視点で、お客様をガイドしていくのが営業の役割。(ネットコマース/斎藤さん)
丸新システムズの熊倉さんの熱い語り口と新潟での震災後を体験したリアルな話が特に印象的でした。少し残念だったのが、ノークリサーチの伊嶋さんからSMBに対するアプローチの説明要求が何度かあったのですが、うなずける回答が出なかったことです。弊社のようにSMBを主戦場とする中小ITベンダーにとっては最も気になるところでした。

全体として、このような会議に参加したことは、自らをレベルの高い環境に投じてみるということで大変勉強になりました。会場には、意識/志の高い方しかいらっしゃらないので、話を理解し噛み砕くのにものすごく頭を使いましたし、集中しました。熱気もかなりのものでした。今後の営業において、ヒントになる部分がたくさんありました。意識して行動することですね。震災やそれに付随する様々な社会的な影響に対して、私は大きな意味で人間が進化するプロセスのひとつだと思うことにしています。その中でビジネスプロセスをどうやって展開していくか、それを考えながら行動していくことが重要ですね。

最後に、震災で被災された皆さま、心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復興を願うとともに、自分にも何かできないか、それをもう一度見つめ直そうと思います。

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